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産科.婦人科
胎児診断(出生前診断)に対してのわたしたちの立場

胎児超音波検査

わたしたちは、事前に異常を知ることによって、新生児の予後を少しでも改善させることができれば、という目的で超音波検査を行っております。当院では標準的なレベルの超音波診断を行っておりますが、確定的な診断をすることは難しいのが現状です。早い時期から認める胎児の異常もありますが、確定的な異常でなければ、お知らせしないこともあります。不安ばかりをあおってしまい、精神的な負担を負わせてしまったり、さらには適切な判断ができなくなったりすることが多いからです。一方、妊娠後半期に認める、胎児の発育障害、羊水量の異常、心臓・内蔵の異常などは、ある程度疑った時点で説明し、分娩に向けて準備をしなければならないかもしれません。必要なら、精密検査のため大学病院などへ紹介することもあります。ただし、やはり超音波診断の難しさから、生まれてくるまで見つからなかったり、診断がつかなかったりすることもあります。胎児超音波検査は、単なる面会・鑑賞ではありません。異常のことをよく理解した上で検査をお受けください。

※胎児の推定体重
胎児の大きさ(体重)を超音波計測により推定します。これはあくまで「推定」であり、実際のところ1〜2割程度の誤差も考慮しなければなりません。(例:前回2000g→今回2200gの場合に200g増えたと単純に言えない、ということです。)
※胎児の性別
超音波による性別診断は誤ることも時々あります。また、胎児の位置によってわからないこともあります。診断は24週以降になります。

羊水染色体検査・母体血胎児染色体検査(NIPT)

主にダウン症などの染色体異常を調べる目的での検査です。原則、妊婦さん側の希望によってのみ行いますが、特に羊水腔穿刺による羊水染色体検査は、児を危険にさらす検査であり、原則的にわたしたちからお勧めできる検査ではありません。なお特殊な場合を除いて、性別診断のための染色体検査は認められておりません。母体血胎児染色体検査は母体の血液検査であり、検査自体の危険性はありません。しかし、検査できるのは、ダウン症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群の3種類のみです。また精度は高いのですが100%ではありません。良くない結果であった場合は、不安を増強させたり、やりたくない羊水検査をせざるを得なかったり、ということにもつながりうる不完全な検査だと言うことを認識してください。よって、わたしたちからこの検査をお勧めすることは原則としてありません。

出生前診断と人工妊娠中絶における論理上の問題

日本では母体保護法により、母体の健康を守るための人工妊娠中絶(妊娠22週未満)が認められていますが、胎児の異常を理由にした中絶は認められていません。胎児の尊厳を最大限尊重する立場から、わたしたちは胎児の異常や予後を理由にした中絶に対しては認めない考えでおります。ごく一部に「障がい児ならいらない」といったような発言をされる方もいらっしゃいますが、そのような考えに基づく出生前診断は実施できません。しかしながら、現時点では日本の医療福祉・社会保障が充分でないことも事実です。各相談には対応いたします。

(本文は深谷赤十字病院の妊娠管理についての説明文書を基に一部改変したものです。)